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AI/機械学習

Geminiの考える深さを調整する"Thinking Level"

2026.08.17

はじめに

皆さん、こんにちは、エンジニアの Hodoshima です。

今回は、Gemini API の中で調整できるパラメータのうちの 1 つである Thinking Level について紹介します。

この Thinking Level を調整することで、 Gemini のモデルの「考える」深さを調整することができます。

考える深さは Gemini API のトークン消費量にも関わってくるので、知識の一つとして入れておくと、コスト削減にも役立つかもしれません。

Thinking Level とは?

Thinking Level とは、回答を出す前に、モデル自身がどれだけ深く推論や思考するかを調整するためのパラメータです。

近年の急激にな生成 AI の成長により、より難しい課題や問題にも、生成 AI 自身が考えて、問題を解くようなりました。

ですが、その一方で、「1+1=?」という簡単なプロンプトに対しても、複雑な思考をしてしまい、出力までに時間がかかったり、トークンをたくさん使ってしまうという課題点だありました。

この課題への解決策として、 Thinking Level が導入されました。 Thinking Level によって、期待されるものが「深く考えるよりも速度やコストを優先する」なのか、「深く考えて、品質を担保してほしい」なのかを指定することで、生成 AI としての能力を最大限発揮することができます

Thinking Level の仕様について

(1) 2026 年 8 月 13 日時点で、Thinking Level は一般的によく使われている UI からでは使うことができません。

↓ 一般的な Gemini のブラウザ用の UI ( https://gemini.google.com/ )

Thinking Level は次の方法で、値を設定することができます。

  • Google Ai Studio で、Thinking Level のセレクトボックスから指定する。
  • Gemini API のリクエストボディに記載する (記載方法は後述)

(2) Thinking Level は4種のレベルから指定できます。

  • minimal
  • low
  • medium
  • high

minimal では、ほとんど思考が発生せず (ゼロとは限りません)、high になるとより深い思考を行うようになります。

(3) Thinking Level はモデルごとに指定できるレベルに差があります。

また、Thinking Level を明示的に指定しないとデフォルト値が適用されますが、デフォルト値もモデルによってかわります。 以下はモデルごとの選択可能な Thinking Levelの例です (参考ページ: https://docs.cloud.google.com/gemini-enterprise-agent-platform/models/thinking?hl=ja)

モデル名 デフォルト minimal low medium high
Gemini 3.6 Flash medium
Gemini 3.5 Flash-Lite minimal
Gemini 3.1 Pro high ×

(4) 思考の分量は思考トークン (thought_tokens) として、トークンが消費されます。

思考トークンはレスポンスのトークンとしてのレートで計算されるため、たくさん思考をさせるとそれだけで、費用が嵩んでしまいます。やり過ぎには注意しましょう。

実験

ここからは、Thinking Level によって、Gemini での処理時間や、生成結果にどのような差が生まれうのかを実際に検証してみました。

条件についてです

  • 実行日: 2026 年 8 月 13 日
  • 使用したモデル: Gemini 3.6 Flash
  • パラメータの設定は、Thinking Level のみ。それ以外は全てデフォルト

curl で Gemini API を使う場合のサンプルです。

  • $GEMINI_API_KEY には、あなたが使っている Gemini の API キーを入れてください。
  • リクエストボディの generation_config > thinking_level フィールドに、設定したい Thinking Level の文字列を入れることで、Thinking Level を設定できます。
curl -X POST "https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/interactions" \
  -H "x-goog-api-key: $GEMINI_API_KEY" \
  -H 'Content-Type: application/json' \
  -d '{
    "model": "gemini-3.6-flash",
    "input": "ことわざを1つ教えてください",
    "generation_config": {
      "thinking_level": "low"
    }
  }'

(1) 簡単な計算問題

まずは、簡単な計算問題を通じて、Thinking Level が実際に影響を与えているのかどうかを検証します。

次のような簡単な計算問題を用意しました。

(プロンプト)
1から100までの整数の中で、3でも5でも割り切れない数の合計はいくらですか?結論の数値のみを答えてください。

この計算問題をプロンプトとして、Thinking Level を設定して、Gemini API にリクエストを送りました。

この問題の正解は、2632 ですが、どの Thinking Level であったとしても、2632 が解答として返ってきました。そのため、計算問題としてはどのモデルもできています。

ですが、それぞれの Thinking Level について、Gemini での処理時間と、消費した思考トークン数に差が生まれました。

Thinking Level 処理時間 消費した思考トークン
minimal 3 秒 0
low 4 秒 197
medium 6 秒 750
high 9 秒 1297

Thinking Level が大きくなればなるほど、深く考えるようになるため、処理時間が伸びたり、思考トークンを多く消費するようになります。

high における思考トークンの消費量 1297 は、日本円にすると約 1.2 円の計算になります。 今回のような簡単な問題だったり、単純作業の場合は、思考をしてしまうと、余計な費用になってしまうため、思考トークンは minimallow のように低いものにするのがおすすめです。

(2) 文章の作成

次は、文章の作成を行わせてみました。

架空の製品の紹介文を厳しい制約の中で作るというタスクを依頼しました。

(プロンプト)
『新商品のAIツールを紹介する短い紹介文』を書いてください。ただし、以下の制約をすべて厳密に守ってください。
全体でちょうど100文字にすること(句読点を含む)。 
1文目は『驚き』、2文目は『機能』、3文目は『行動喚起』で構成すること。 
原則として『便利』『簡単』という言葉は使用しないこと。 最終的な本文のみを出力してください。

今回は、Thinking Level が minimalhigh の 2 パターンで検証をしました。

実際に帰ってきた両者の紹介文を載せます。

minimal

アイデアが瞬時に形になるなんて!新登場の「AIツクール」は、対話だけで独自の文章や画像を自動生成します。あなたの創作活動を劇的に加速させる体験を、今すぐ始めましょう。
(訳註: 83 文字)

high

言葉をひとつ入力するだけで見事な作品が誕生するとは驚きです!AIツクールは文章から美しい画像や動画、高度なプログラムを即座に生成します。無限の可能性を秘めた新しい創作の扉を、今すぐに開いてみましょう!
(訳註: 100 文字)

high の方は 100 文字ちょうどの制約を守れていますが、miniaml の方は 83 文字と 100 文字ちょうどの制約を守れていません。

また、個人的な感想にはなってしまいますが、high の方が訴求として上出来に見えます。

このように、特徴的な制約があったり、創作を行う場合は Thinking Level を高くした方が、良い場面が多いです。

まとめ

同じモデルの中でも、Thinking Level を設定することによって、成果物の精度や処理時間に大きな差が出ることがわかりました。

Gemini に依頼するタスクの難易度によって Thinking Level を調整することで、「簡単なタスクなのに複雑に考えてしまった」、「複雑なタスクなのに、あまり考えずに制約を守れていない成果物が帰ってきてしまった」と言った現象が避けられ、期待にあったモデルの利用をすることができます。

タスクの難易度を考えて Thinking Level を調整することで、ぜひ快適な Gemini ライフをお送りください。

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